セーニョボス(読み)せーにょぼす(英語表記)Charles Seignobos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セーニョボス」の意味・わかりやすい解説

セーニョボス
せーにょぼす
Charles Seignobos
(1854―1942)

フランスの歴史家。パリのエコール・ノルマルで名著『古代都市』の執筆者クーランジェの教えを受け、パリ大学で史学専攻。1883年に同大学の現代史の講座を担当する。『現代ヨーロッパ政治史』(1897)でアカデミー賞を受ける。前年発刊されたラングロアとの共著『史学研究序説』も好評をよんだ。実証史学の本領に分け入り、史実史料を駆使して事実の真相に迫る史家の方法論を分析しくふうした好著とみられた。著述として、『第二帝政』(1930)、『フランス国民正史』(1933)、『ヨーロッパ諸民族比較史』(1938)など数多くを残す。なかでも『フランス国民正史』は、フランス革命の世界史的意義を自由と個人の尊厳に据え、共和精神と議会主義の理想を現実に照らして追求した実直な啓蒙(けいもう)書だが、おりから迫りくる国際危機と社会主義やファシズムの暴力に抗して、第三共和政の正義と正理を啓示し、国民必読の教程のように尊重された。

[金澤 誠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セーニョボス」の意味・わかりやすい解説

セーニョボス
Seignobos, Charles

[生]1854.9.10.
[没]1942.5.2.
フランスの歴史家。 1890年ソルボンヌの教授就任。近・現代史専攻。厳格な史料批判に立脚する実証主義主張。ブルゴーニュ地方の封建社会地域史研究のほか C.ラングロアとの共著『歴史学研究法入門』 Introduction aux études historiques (1897) は史料吟味の方法論を体系化したもので日本でも有名である。その他『文明史』 Histoire de la civilisation (86) ,『現代ヨーロッパ政治史』 Histoire politique de l'Europe contemporaine (97) などの著書がある。

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