ソサエティー5.0(読み)ソサエティーゴテンゼロ(その他表記)Society 5.0

デジタル大辞泉 「ソサエティー5.0」の意味・読み・例文・類語

ソサエティー‐ごてんゼロ【ソサエティー5.0】

society 5.0》日本政府により閣議決定された科学技術政策の基本指針の一。人工知能ビッグデータユビキタス関連の情報技術を従来の技術と組み合わせ、社会のあらゆる分野で新しい製品やサービスを提供できるよう、研究や開発投資を進めようとするもの。
[補説]内閣府が設置した総合科学技術・イノベーション会議が、平成28年度(2016)から5年間の科学技術政策を策定した第5期科学技術基本計画において重要な基本指針として掲げた。名称は、人間の社会構造において、狩猟農耕・工業・情報に続く5番目の変革と位置づけたもの。

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知恵蔵 「ソサエティー5.0」の解説

ソサエティー5.0

内閣府が提唱する未来社会のコンセプトのこと。社会の発展段階を定義して、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く次なる「半歩先の未来」社会の姿を指す概念であるとする。5年ごとに改定されている科学技術基本計画の第5期(2016~2020年度)で初めて提唱された。
科学技術基本計画は、1995年に制定された「科学技術基本法」に基づいて、長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行するために、内閣の諮問機関である科学技術会議(後に総合科学技術会議に改称)により、1期5年間として96年から継続的に策定されてきた。第5期基本計画は、同会議が当該分野における政策推進の役割を強化した「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」に改組され、初めて策定された計画である。内容としては、情報通信技術(ICT)の進化などにより「大変革時代」が到来、時代を先導するために「非連続なイノベーションを生み出す研究開発を強化し、新しい価値やサービスが次々と創出される『超スマート社会』を世界に先駆けて実現するための一連の取組を更に深化させつつ『Society 5.0』として強力に推進する。」というもの。農耕社会や工業社会などの区分は主要な生産関係を社会の発展段階の定義に当てはめた類型的な区分と同一のものと考えられるが、Society 5.0については情報社会の延長線上に置かれる「新たな社会」とされている。内閣府の主張によれば、これまでの情報社会(Society 4.0)では、人が行う能力に限界があることから、知識や情報が共有されず分野横断的な連携が不十分であったという。これに対して、IoT(モノのインターネット)ですべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服するとしている。人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボット自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服される、社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞(へいそく)感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重しあえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となる、などが未来像として掲げられている。政府、関係機関などが近年「新しい社会」というときは、基本的にこのSociety 5.0を想定して述べているものと考えられている。

(金谷俊秀 ライター/2020年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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