ビッグデータ(読み)びっぐでーた(英語表記)big data

翻訳|big data

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビッグデータ」の意味・わかりやすい解説

ビッグデータ
びっぐでーた
big data

コンピュータ通信機器などの高機能なデジタル機器が仕事や暮らしに広く利用されることにより、日々刻々と記録されているさまざまなデータの巨大な集まりのこと。データの種類や量などになんらかの規定があるわけではなく、多くの種類と形式のデータがあり、同時に、これまでのデータベースでファイル管理されている構造化データもあれば、検索や整理、変更などの一括したファイル管理がむずかしい、非構造的に記録されているものも含まれている。

 たとえば、荷物につけたICタグの情報や携帯電話のGPSが発するログファイル、ソーシャルメディアへの投稿、写真やビデオのデジタルデータ、オンラインショッピングの処理レコードなど、文字、画像、音声などのさまざまな種類のデータがつくられ、ネットワークを介して次々とサーバーへ転送されている。それらは従来のファイルの集中管理方法では、個別のデータに過ぎないため意味をもたないものであった。しかし、ハドゥープHadoopというソフトウェアに代表されるデータ管理の技術革新によって状況が変わり、サーバーなどのコンピュータを並列につなぎ、従来は不可能であった大規模なデータの効率的な分散処理や管理を行うことができるようになった。

 日本の情報処理推進機構IPA=Information-Technology Promotion Agency)が2012年(平成24)3月に発表した報告書によると、世界で1日の間に生成されるデータは、2009年で2.5エクサバイトEB。エクサバイトはギガバイトの約10億倍の単位)、予想では2020年に35ゼタバイト(ZB。ゼタバイトはギガバイトの約1兆倍の単位)に膨れあがるという。このような巨大化するデータ群をリアルタイムに分析することが、社会や経済動向の予測、病気の予防、犯罪対策などに有効活用できることがわかってきた。2012年3月には、アメリカのホワイトハウスが、ビッグデータに関する研究開発に総額2億ドルを超える予算を投じる計画を発表した。一方で、ビッグデータは膨大な個人情報を含んだデータの記録であり、その活用にあたってプライバシーをいかに守っていくのかが大きな問題となっている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビッグデータ」の意味・わかりやすい解説

ビッグデータ

インターネットなどのネットワークを通じて収集される膨大なデータ。情報通信技術 ICTの発展にともなって,さまざまな種類および形式で生成されるデータの収集が可能になった。パーソナル・コンピュータスマートフォンをはじめとする通信機器や,POSシステムカー・ナビゲーション・システム,電子カルテ(→医療情報システム)など,あらゆる電子システムが多くの人に日常的に利用されることにより刻々と記録されるデータは,きわめて広範囲で大量かつ不規則で,即時的に変化する。そこに利用価値の高さを見出したさまざまな分野において,2010年頃からビッグデータを分析・活用し,業務運営の効率化,利用者の需要に合致したサービスの提供や,新しい産業の創出にいかそうという動きが生まれた。ビッグデータとは,生データそのものだけではなく,そのなかから特定の対象に関連するある重要な意味合いを抽出する過程をも含むとされているが,近年ではそのプロセスをデータマイニングと呼ぶ。(→情報化情報処理知識工学

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