改訂新版 世界大百科事典 「ソマリ族」の意味・わかりやすい解説
ソマリ族 (ソマリぞく)
Somali
アフリカ東部のソマリア,ケニア北東部,エチオピア南東部を含む,〈アフリカの角〉と呼ばれる乾燥地帯に住む民族。東クシ系ソマリ語を使用する。人口約400万で,大部分がイスラム教徒である。人口の一部には牛飼養と雑穀栽培を行う者があり,また交易,商業に従事する者も多いが,ソマリ族の生活は基本的にラクダ牧畜に支えられている。年降水量が250~500mmと乏しく,耐乾性に優れたラクダ,ヤギ,羊を広範囲の土地に放牧して生計をたてる。居住様式は集落とキャンプからなる二分居住形態をとる。集落は家族の居住地で,母親の所有する数個の小屋よりなり,ヤギ,羊はここで管理される。キャンプはラクダ放牧のためにつくられ,少年,青年が露天生活を送りながら共同で管理する。社会は父系出自集団によって組織されるが,姻族関係も重視され,社会的連帯の強固な血償集団がつくられる。ナイル系牧畜民と違って,年齢体系をもたない。一夫多妻制で,男は2~3人の妻をもつ。
執筆者:佐藤 俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報