日本大百科全書(ニッポニカ) 「そろばん玉石」の意味・わかりやすい解説
そろばん玉石
そろばんだまいし
流紋岩などにあるそろばん玉型の空隙(くうげき)を鉱物が満たし、それが取り出されてそろばん玉のようにみえるところからこの名がある。大部分は玉髄質の石英で、まれにたんぱく石(オパール)や方解石のこともある。両錐(すい)状で一端は突起し、一端はくぼんでいる。また頂点から周縁に向かって放射状の小溝が発達していることが多い。そろばん玉が1個のものから、数個集合したものまであり、普通、直径1~2センチメートルの大きさである。まれに10センチメートル以上に達することもある。玉髄質のものはしばしば輝沸石などの沸石を伴う。そろばん玉石はクリストバル石や斜長石などからなる球顆(きゅうか)に包み込まれていることが多く、これらの鉱物形成後にガス圧の上昇で、そろばん玉型の空隙ができ、そこにケイ酸分が入り込んでできたものと考えられている。京都府、石川県、新潟県、山形県、福島県など日本海側の新第三紀噴出の流紋岩質岩から産する。
[松原 聰]