ソーシャルグラフ(読み)そーしゃるぐらふ(英語表記)social graph

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソーシャルグラフ」の意味・わかりやすい解説

ソーシャルグラフ
そーしゃるぐらふ
social graph

互いに影響を与えあう複数の人間の結びつきや、かかわり合いを示した概念SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめとするソーシャルメディアにおけるウェブ上での人間の相関関係を、点と線分で可視化したものやその集積データを意味することが多い。通常、ウェブ上のつながりのうち人間同士が現実社会でも直接関係しているつながりはリアルソーシャルグラフ、ウェブ上だけの結びつきはバーチャルソーシャルグラフとよばれる。

 SNSの場合、ある人の性別居住地、仕事、趣味、メールアドレスなどといった個人の属性と、ネット上での購買やウェブの閲覧などの行動履歴情報が、関係図を形づくるもとになる。この関係性をベースに、現実社会でも直接結びつきのある家族や友人、さらにウェブ上だけのバーチャルな関係性が表される。現在はフェイスブックFacebookやツイッターTwitterなどをはじめ、写真投稿サイトやネット通販などの多くのインターネットサービスで、なんらかのソーシャルグラフの仕組みが提供され、さまざまなサービスの基盤として利用されている。とくに結びつきのある知人同士や同じ趣味をもつ人、行動履歴から似た嗜好(しこう)をもつ人の情報を分析し、好み物品やサービスを絞り込み、広告として情報提供するなど、新たなマーケティング手法としてビジネス分野で注目を集めている。

 ソーシャルグラフは、そもそも数学分野のグラフ理論から派生したもので、2007年にアメリカのプログラマーであるフィッツパトリックBrad Fitzpatrick(1980― )が、ソーシャルメディアの相互運用を進めるための概念として提唱した。以降、ウェブサイトに設けられたフェイスブックの「いいね!」ボタン(Like Button)を押すと、つながりのある登録ユーザー間で情報を即時に共有できるサービスとして世界的に利用されるようになった。ただしユーザーの登録情報には非公開のものもあるため、原則として公開されているパブリックなデータのみを対象としている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例