日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイワンジカ」の意味・わかりやすい解説
タイワンジカ
たいわんじか / 台湾鹿
Formosan deer
[学] Cervus taiouanus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。台湾に分布するが、正確な産地は不明である。野生種はきわめて少なく、現在では飼育下の生息が知られるだけとなっている。体長150センチメートル、肩高90センチメートル。雌に角(つの)はなく、雄の角は主軸で長さ45~50センチメートル、第1枝が短い。被毛は夏毛が淡褐色、冬毛は橙(とう)褐色で、夏冬ともに白斑(はくはん)が明瞭(めいりょう)である点がニホンジカと異なる。また、この白斑が花のようにみえるため、カロク、ハナジカ(花鹿)ともよばれる。臀(しり)の白斑の周縁と背の正中線上に黒条がある。角は春先に落ち、落角後ただちに新しい角を生じる。11月ごろ交尾し、5月ごろ1子を産む。夕刻と朝早く採食に出るが、森林を離れない。秋ごろ、1頭の雄が数頭の雌を従えハレムをつくる。
[北原正宣]