タケノコガイ

改訂新版 世界大百科事典 「タケノコガイ」の意味・わかりやすい解説

タケノコガイ (筍貝)

タケノコガイ科Terebridaeの巻貝総称,またはそのうちの1種を指す。この科に属する日本産の種類は約120ある。殻は堅固で細長く,殻頂のほうへゆるやかに細くなる。巻数は多く,20階をこえることもある。殻表が平滑で模様の美しい種類は貝細工に用いられる。熱帯地方の浅海の砂,または砂泥底にすみ,肉食性。

 タケノコガイTerebra subulataは殻の高さ15cm,径25cmで細長く,巻きは約20階。表面は平滑で黄白色の地に黒色の斑列が各階に上下2列あるが,最後の階には3列ある。名はその形をたけのこに見たてたものである。和歌山県以南~熱帯太平洋インド洋に広く分布し,水深20mくらいまでの砂底にすむ。殻が美しいので貝細工に用いる。ウシノツノガイT.areolataはこの種に似るが,各階に3列,最後の階に4列の黒斑がある。奄美諸島以南に分布する。リュウキュウタケノコガイT.maculataは大型の種で,殻の高さ25cmをこえることがあり,貝細工の材料になる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タケノコガイ」の意味・わかりやすい解説

タケノコガイ
たけのこがい / 筍貝
笋貝
auger shell
[学] Terebra subulata

軟体動物門腹足綱タケノコガイ科の巻き貝。紀伊半島以南の太平洋、インド洋に分布し、サンゴ礁地帯の水深10~30メートルの砂底に埋もれてすむ。殻高150ミリメートル、殻径25ミリメートルに達する細くて高い塔形で、螺層(らそう)は20階、殻表は平滑で、黄白色の地に黒斑(こくはん)列が螺層に2条、体層に3条ある。名は、形をタケノコに見立てたものである。

 近似種のウシノツノガイSubula muscariaは、分布も生息場所も本種と同じで、形も一見よく似ているが、螺層の黒斑は3条、体層に4条あり、縫合の下に螺構があるので区別できる。タケノコガイ科の貝は日本周辺には約20種を産し、殻の美しいものが多く、大形のリュウキュウタケガイOxymeris maculatusなどは観賞用や貝細工の材料にされている。

[奥谷喬司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タケノコガイ」の意味・わかりやすい解説

タケノコガイ
Terebra subulata; subulate auger shell

軟体動物門腹足綱タケノコガイ科。殻高 15cm,殻径 2.5cm。殻は細長く,殻頂方向へ次第に細くなりとがる。その形状をタケノコに見立てたのが和名の由来である。螺層は 20階。殻表は平滑で光沢があり,黄白色地に黒色斑が体層に3列,他の螺層に2列ある。近縁のウシノツノガイ Subula muscariaは体層に4列,他の螺層に3列の黒色斑がある。ともに紀伊半島以南の熱帯太平洋,インド洋の潮間帯から水深 30mの砂底に埋もれてすむ。毒腺をもち,多毛類 (ゴカイ類) を捕食する。殻は貝細工の材料として用いられる。

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百科事典マイペディア 「タケノコガイ」の意味・わかりやすい解説

タケノコガイ

タケノコガイ科の巻貝。高さ15cm,幅2.5cmに達し,細長い塔状。淡黄色の地に黒色斑が各螺層(らそう)に2列,最後の体層には3列ある。紀伊半島以南の西太平洋,インド洋の浅海の砂底にすむ。殻が美しいので貝細工にされる。近縁種のウシノツノガイは本種に似て,黒斑が各層に3列,体層に4列。またリュウキュウタケノコガイは太くて高さ25cm,幅5cmを超えることがある。その他日本には約100種。

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