タチシノブ(読み)たちしのぶ(英語表記)Japanese claw fern

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タチシノブ」の意味・わかりやすい解説

タチシノブ
たちしのぶ / 立忍
Japanese claw fern
carrot fern
[学] Onychium japonicum Kunze

イノモトソウ科の常緑性シダ。冬でも緑の葉を茂らせるところから、カンシノブ寒忍)ともいう。形態はシノブ科のシノブに似ており、匍匐(ほふく)する根茎から、3、4回羽状複葉の葉をつけ、高さ30~60センチメートルになる。栄養葉胞子葉の二型があるが、栄養葉は胞子葉よりも小さい。関東地方以西の暖地に生じ、中国、インドパキスタンミャンマービルマ)、フィリピンなどにも分布する。中国では地下部を解毒利尿止血などに薬用し、フィリピンでは葉汁を脱毛防止薬として用いる。

[栗田子郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タチシノブ」の意味・わかりやすい解説

タチシノブ(立忍)
タチシノブ
Onychium japonicum; claw-fern

ワラビ科の常緑性シダ植物。カンシノブともいう。日本の東北地方南部以西および朝鮮南部から東南アジア熱帯にかけて広く分布する。山地の樹林下に普通にみられる。根茎は匍匐し,褐色の薄い鱗片を密生する。葉は 50cm前後に達し,葉身は3~4回羽状複葉で,裂片は細長い。胞子葉と栄養葉の2型が区別され,胞子葉のほうが切れ込みも深く大型になる。和名は,シノブに似ていて葉が直立することにより,またカンシノブはシノブが夏緑性なのに対し,冬でも枯れないためである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android