改訂新版 世界大百科事典 「ダスキールトン」の意味・わかりやすい解説
ダスキールトン
dusky lutong
Presbytis obscurus
霊長目オナガザル科の旧世界ザル。目のまわりが白く眼鏡をかけたように見える。口のまわりにも口ひげとあごひげを生やしたような白毛が目だつ。ほっそりした体型で,頭胴長より長い尾をもつ。体重6kg前後,頭胴長約60cm。白い腹部を除き,体毛はダークグレー。顔も黒っぽい。新生児はピンクの肌をしており,明るいオレンジイェローの毛に覆われている。タイ南部からマレー半島およびスマトラ島の熱帯雨林,乾燥林に10頭ほどの群れで生活している。樹上生活者で,木の葉,果実,花をおもな食物とし,昆虫はほとんど食べない。動物園の観察では,近縁の仲間と同じく母親以外の雄や雌が赤ん坊の世話をよくすることや,わき腹を抱き合って背にキスをしたり,人間の笑い声に似た声を出す,おとなどうしの挨拶行動が見られている。日本でもいくつかの動物園で飼育されている。
執筆者:黒田 末寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報