知恵蔵 「ダッカ襲撃事件」の解説
ダッカ襲撃事件
実行犯は全員がバングラデシュ国籍の20代イスラム教徒で、非イスラムの外国人を標的にしたことから、イスラム過激思想の影響を受けていたとみられる。襲撃した1日は、ラマダン(断食月)最後の金曜日で、イスラム教の最も神聖な祝祭日イードも控えていた。
事件後、過激派組織「イスラム国(IS)バングラデシュ」を名乗る組織が犯行声明を出し、実行犯5人の写真も公開したが、バングラデシュ治安当局は「バングラデシュ・ムジャヒディン集団(JMB)」を中心とする国内の複数の過激派組織による犯行とみており、ISの直接の関与については否定している。一方、ISはJMBを傘下に入れたことを表明しており、犠牲者9人を出したイタリアの外相も「ISの犯行声明は信用度が高い」と語っている。バングラデシュのカーン外相も、実行犯がISに接触した可能性については否定していない。事件から1カ月後の8月2日、地元の捜査当局はJMBの分派の指導者タミム・チョードリー容疑者と元軍幹部サイード・ジアウル・ハク容疑者を首謀者の疑いがあると発表した。チョードリー容疑者は、ISの機関誌に「バングラデシュ支部の司令官」として紹介されている。 (2016年8月4日時点)。
(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報