ダヤク諸族(読み)ダヤクしょぞく(その他表記)Dayak peoples

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダヤク諸族」の意味・わかりやすい解説

ダヤク諸族
ダヤクしょぞく
Dayak peoples

ボルネオ島に住むプロト・マレー系諸民族に対する総称。カヤン族クニャー族を含む中・東部のバハウ族,南部のガジュ族,南西部の陸ダヤク族,およびサラワクイバン族などに分れる。人口約 200万~220万と推定される。プナン族その他の内陸の森林で狩猟を業とする一部を除いて,一般に川岸ロングハウスに住み,1つのコミュニティーは数百人をこえることはまれで,双系的に出自をたどる。イバン族と陸ダヤク族には社会的階層がないが,かつてカヤン族とクニャー族には首長を含む貴族,平民,奴隷階級が認められた。主として焼畑耕作による陸稲の栽培に従事し,二次的に漁業と狩猟に依存している。用具は鉄製で武器は剣,槍,吹き矢などを用いる。言語はオーストロネシア語族のインドネシア語派に属する。宗教はアニミズムが中心で,多神教的であり,なかでも盛大な2次葬を行うものはカハリンガンと呼ばれ,ヒンドゥー教一派として政府からも公認されている。かつては民族間の争いが多く首狩りが行われた。なお,ボルネオ各地のマレー人の多くは,イスラム化したダヤクをさすが,ダヤクのマレー化現象は今日までみられる。

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