プナン族(読み)プナンぞく(英語表記)Punan; Penan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プナン族」の意味・わかりやすい解説

プナン族
プナンぞく
Punan; Penan

ボルネオ島内陸部の狩猟採集民総称。一部は定着して陸稲栽培を行なっている。15~75人の小家族集団で,毒の吹き矢,槍を武器とし,一定の領域内を歩き,他集団の領域へは許可なしには立ち入らない。近年は銃の使用が増えている。親族組織は双系的であるが,父の名前を継ぎ,父方の系譜関係のほうが母方の系譜関係より詳しく想起される。結婚に婚資 (吹き矢,槍など) を支払い,集団内の婚姻が好まれる。集団には頭 (かしら) がいるが,恒久的な権力は保持しない。一般に階級分化はない。キリスト教が伝播している (東プナンにはプロテスタント,西プナンにはカトリック) が,大部分は伝統的宗教を維持している。シャーマニズムがみられ,鳥,シカヘビなどによる前兆の信仰が認められる。創造主である至上神崇拝があるが,宗教儀礼はあまり行なわれない。人が死ぬとその場に死体を埋葬し,住む場所を移動して数ヵ月は戻らない。

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