日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャドクガ」の意味・わかりやすい解説
チャドクガ
ちゃどくが / 茶毒蛾
[学] Euproctis pseudoconspersa
昆虫綱鱗翅(りんし)目ドクガ科に属するガ。はねの開張20~30ミリメートル。はねは橙黄(とうこう)色。前翅には黒褐色鱗を散布し、2本の白線があり、翅頂下に黒紋が1、2個ある。第一化の雄ははねの縁を除いて真っ黒な個体が多い。触角の櫛歯(くしば)は、雌では短い。本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布する。年二化で、関東地方の平野部では、7月上旬と10月に成虫が羽化する。幼虫はチャ、ツバキ、サザンカなどツバキ科の葉を食べる。体長約25ミリメートル。黄褐色で、背面の両側に黒褐色条があり、隆起した部分から軟らかい刺毛を射出する。毒針毛をもつので、これに触れると激しいかゆみと発疹(ほっしん)ができる。繭にもこの毒毛が混ぜられるので危険である。若齢のうちは、葉の裏面に頭をそろえて群がって葉を食べるが、老熟すると分散して葉の縁から食べる。根際などに降りて褐色の薄い繭をつくり、蛹化(ようか)する。卵は葉の裏や枝に産み付けられ、母ガの尾毛で覆われる。成虫も幼虫時代の毒針毛を体につけているので、一生この針で武装していることになる。
[井上 寛]