日本大百科全書(ニッポニカ) 「ちょうじ油」の意味・わかりやすい解説
ちょうじ油
ちょうじゆ / 丁字油
clove oil
モルッカ諸島を原産地とし、現在はアフリカ東海岸のザンジバル島を主産地とするフトモモ科に属するチョウジのつぼみ、花柄、葉を水蒸気蒸留すると収油率16~19%で得られる精油。丁香油、クローブ油ともいう。この精油は淡黄色の液体で、日光にさらされると暗色粘稠(ねんちゅう)になる。強い芳香、辛味を有し、エーテル、クロロホルムに溶ける。成分はオイゲノール(70~90%)、酢酸オイゲノール、カリオフィレン、バニリンなどである。用途は主としてバニリンの製造原料であり、さらに香辛料(クローブ)、医薬(駆風剤、防腐剤)などである。チョウジそのものは食品、医薬品、たばこ香料に用いられ、ちょうじ油を採取するのは全生産量の20~30%である。
[佐藤菊正]