ツキイゲ(英語表記)Spinifex littoreus(Burm.f.)Merrill

改訂新版 世界大百科事典 「ツキイゲ」の意味・わかりやすい解説

ツキイゲ
Spinifex littoreus(Burm.f.)Merrill

東南アジアから日本の屋久島までの海岸の砂丘に群生するとげのある変わった形のイネ科多年草。茎は下部が長くはってやや木質化し,上部が立ち上がって,高さ30~50cmになる。葉は茎の節につき,刺針状で,反り,長さ5~20cm,幅3mmくらいで,茎とともに白っぽい緑色で,先は鋭い針に終わる。雌雄異株で,日本では夏に開花する。雄花序は茎の頂に束生した数個の総(ふさ)で,各枝は4~8cm,先端にとげがあり,中央上部に長さ1cmくらいの小穂をやや密につける。雌花序は茎の頂に多数の長さ1cmの雌小穂が頭状に集まったものであるが,各小穂に長さ10~15cmの長い芒(のぎ)があるため,芒の刺針が多数放射状に集まった径20cmの球に見え,珍奇である。インドマレーシアで海岸の砂防用にされる。和名の意味は不明瞭であるが,突鬚(つきひげ)がなまったものともいわれ,長い刺針状の芒が密生する雌花序に由来するものとする説がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツキイゲ」の意味・わかりやすい解説

ツキイゲ
つきいげ
[学] Spinifex littoreus Merr.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は長く、地中を横にはう。稈(かん)は基部が分枝して太く、低木状となり、高さ30~50センチメートル。葉は刺(とげ)状円柱形で太く、表面に浅い溝がある。雌雄異株。7~8月、稈頂に先が刺になる花序分枝を放射状に並べてつける。小穂には小花が2個ある。雌花序は径約10センチメートルの球形で、成熟すると稈頂から脱落し、風にのって穎果(えいか)を散らす。屋久(やく)島から沖縄にかけての砂丘に生え、中国、インド、マレーシア、フィリピンに広く分布する。

[許 建 昌 2019年8月20日]

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