日本大百科全書(ニッポニカ) 「屋久」の意味・わかりやすい解説
屋久
やく
鹿児島県本土の南方洋上、熊毛郡(くまげぐん)にあった旧町名(屋久町(ちょう))。屋久島(やくしま)町の南半部にあたる。旧屋久町は1959年(昭和34)町制施行。2007年(平成19)上屋久(かみやく)町と合併し屋久島町となった。旧町域は屋久島の南半分を占め、大部分は宮之浦岳(1936メートル)、黒味岳(くろみだけ)(1831メートル)などの山地で覆われる。集落は狭い海岸段丘上に点在し、旧町役場所在地は尾之間(おのあいだ)。中世末、種子島氏(たねがしまうじ)領から島津氏直轄領となる。温暖な気候を利用したポンカン、タンカンなどの果樹、エンドウ、ジャガイモなどの野菜の栽培のほか、屋久杉の加工が盛んである。屋久島国立公園の一部で、スギ原始林は特別天然記念物。1993年(平成5)に屋久島はユネスコの世界遺産に登録された。安房(あんぼう)川上流の荒川沿いには、屋久杉を観賞できる自然休養林屋久杉ランドがある。
[平岡昭利]
『『屋久町誌』(1964・屋久町)』