改訂新版 世界大百科事典 「ツチアケビ」の意味・わかりやすい解説
ツチアケビ
Galeola septentrionalis Reichb.f.
ナラタケと共生する大型の腐生ラン。秋に低山を彩る赤い果実を,アケビにみたてて和名がついた。太くて長い根茎がある。茎は太く直立し,葉緑体を欠き褐色,高さ50~100cm,ところどころに退化した鱗片葉がある。6~8月,分枝した花序に多数の花をつける。花は黄褐色で,径1.5~2cm程度。花被はあまり開かない。唇弁はやや多肉質で,黄色味が強い。果実は肉質で赤くなり,垂れさがる。熟しても裂開しない。北海道から奄美大島まで分布し,落葉樹林の林縁やササやぶなどに生える。
ツチアケビ属Galeolaは旧熱帯を中心に約20種ある。日本にはもう1種,つる性のツルツチアケビG.altissima (Bl.) Reichb.f.(タカツルラン)が,九州南部,琉球に分布する。
執筆者:井上 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報