日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツノダシ」の意味・わかりやすい解説
ツノダシ
つのだし / 角出
moorish idol
[学] Zanclus cornutus
硬骨魚綱スズキ目ツノダシ科に属する海水魚。メキシコ、ハワイ、南日本から東アフリカ沿岸まで広く分布する。体は円形でよく側扁(そくへん)し、口は管状に突出する。背びれの第3棘(きょく)は著しく糸状に伸びる。近縁のチョウチョウウオ科の魚とは歯が細かくて刷毛(はけ)状であることなどの共通点をもつが、本種は鱗(うろこ)の表面に突起があることなどの特徴で区別される。岩礁付近で群泳し海藻や小動物を食べる。底生生活に移るまでの3、4センチメートルの幼魚は透明で長期の浮遊生活が可能で、海流により広く分散する。また、幼魚の口の後方には曲がった1棘があるため、トゲツノダシという名でよばれた。特異な形態と黄色と黒色の鮮やかな体色から観賞魚とされる。
[井田 齋]