つべし(読み)ツベシ

精選版 日本国語大辞典 「つべし」の意味・読み・例文・類語

つ‐・べし

(完了助動詞「つ」に推量の助動詞「べし」のついたもの)
① あることがまさに実現しそうである、ある事態の完了が当然予想される、などの強い推量を表わす。…にちがいない。…てしまいそうだ。つべい。つべしい。
土左(935頃)承平五年一月七日「船子どもははらづつみをうちて、海をさへおどろかして、波たてつべし」
② あることの実現が可能だという判断を表わす。きっと…できるだろう。たしかに…できそうだ。…てもよさそうだ。つべい。つべしい。
万葉(8C後)八・一五二五「袖振らば見もかはし都倍久(ツベク)近けども渡るすべ無し秋にしあらねば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「つべし」の意味・読み・例文・類語

つ◦べし

[連語]《完了の助動詞「つ」の終止形+推量の助動詞「べし」。この場合の「つ」は強調用法
推量・予想の意を表す。きっと…だろう。…してしまうにちがいない。
「あやまちして、見む人のかたくななる名をも立て―◦べきものなり」〈帚木
意志を表す。きっと…しよう。…してしまうつもりだ。
「いとつれづれなるをなむ、慰め―◦べくておはせ」〈落窪・一〉
可能、または可能の推量の意を表す。きっと…することができる。…できそうだ。
「中の品のけしうはあらぬ、えり出で―◦べき頃ほひなり」〈・帚木〉
当然の意を表す。きっと…するはずである。
楊貴妃ためしも引き出で―◦べくなりゆくに」〈桐壺
「親のため、妻子のためには、恥をも忘れ、盗みもし―◦べき事なり」〈徒然・一四二〉
適当の意を表す。…するのがよい。
「かやうの事こそは、かたはらいたきことのうちに入れ―◦べけれど」〈・一〇二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android