つべし(読み)ツベシ

デジタル大辞泉 「つべし」の意味・読み・例文・類語

つ◦べし

[連語]完了助動詞「つ」の終止形+推量の助動詞「べし」。この場合の「つ」は強調用法
推量・予想の意を表す。きっと…だろう。…してしまうにちがいない。
「あやまちして、見む人のかたくななる名をも立て―◦べきものなり」〈帚木
意志を表す。きっと…しよう。…してしまうつもりだ。
「いとつれづれなるをなむ、慰め―◦べくておはせ」〈落窪・一〉
可能、または可能の推量の意を表す。きっと…することができる。…できそうだ。
「中の品のけしうはあらぬ、えり出で―◦べき頃ほひなり」〈・帚木〉
当然の意を表す。きっと…するはずである。
楊貴妃ためしも引き出で―◦べくなりゆくに」〈桐壺
「親のため、妻子のためには、恥をも忘れ、盗みもし―◦べき事なり」〈徒然・一四二〉
適当の意を表す。…するのがよい。
「かやうの事こそは、かたはらいたきことのうちに入れ―◦べけれど」〈・一〇二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「つべし」の意味・読み・例文・類語

つ‐・べし

  1. ( 完了の助動詞「つ」に推量の助動詞「べし」のついたもの )
  2. あることがまさに実現しそうである、ある事態の完了が当然予想される、などの強い推量を表わす。…にちがいない。…てしまいそうだ。つべい。つべしい。
    1. [初出の実例]「船子どもははらづつみをうちて、海をさへおどろかして、波たてつべし」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月七日)
  3. あることの実現が可能だという判断を表わす。きっと…できるだろう。たしかに…できそうだ。…てもよさそうだ。つべい。つべしい。
    1. [初出の実例]「袖振らば見もかはし都倍久(ツベク)近けども渡るすべ無し秋にしあらねば」(出典万葉集(8C後)八・一五二五)

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