日本大百科全書(ニッポニカ) 「つむじ」の意味・わかりやすい解説
つむじ
頭頂毛渦の俗称。哺乳(ほにゅう)類の毛は一般に体表面に対して斜めに生えており、しかも部位によってそれぞれ同一方向に傾斜しているので、表面から見ると毛は一定の方向に流れるように生えている。これを毛流といい、渦を巻いたようにみえるものを毛渦とよぶ。毛流は動物の場合、運動時の空気抵抗などを避けるような方向、あるいは雨水が自然に流れ落ちるような方向をとっているが、ヒトの場合は直立位をとっているので複雑となり、胴の外側面(背面)に毛流の開離線があることを特徴とする。
毛渦は旋毛ともいい、集中性のものもあるが、大多数は放散性である。頭頂や尾部などにみられるが、頭頂部の毛渦を俗に「つむじ」とよんでいる。霊長目は一般に2個のつむじをもっているが、ヒトの場合はその位置、方向、数に個人差がある。大多数は1個で、2個のものが約7%、まれには3、4個のものもある。位置は右側寄りがもっとも多くて約50%、ついで左側寄りが多く、約20%は正中にあり、そのほか額の生え際近くや耳の前部、後頭のうなじ近くにもみられる。また、渦巻の方向は右旋回のほうが10%ほど多い。
[齋藤公子]