改訂新版 世界大百科事典 「ツルアダン」の意味・わかりやすい解説
ツルアダン
Freycinetia formosana Hemsl.
タコノキ科のつる性木本植物で,その形状からツルダコと呼ばれることもある。常緑の低木状つる植物で,茎は木質化し,多数の線状披針形の葉をらせん状につける。葉は長さ60~100cm。雌雄異株。茎に数個が頂生状につく肉穂花序は,数枚の葉状の苞につつまれる。沖縄の石垣島および西表島,それに台湾に分布する。果実が食用とされることがあり,またときに観賞用に栽植される。
ツルアダン属Freycinetia(英名climbings crew-pine)は東南アジアからオーストラリア,太平洋諸島に約60種あり,日本には小笠原諸島にツルダコF.boninensis Nakaiがある。ツルアダンより葉の幅が広く,葉縁に鋸歯があるということで区別されている。ニュージーランド産のフレイシネティア・バンクシイF.banksii A.Cuun.は花序をつつむ苞が多肉質となり,食用とされる。また,熱帯産の多くの種では苞が白,あるいは紅色になり,みごとなため,観賞用に栽植されることがある。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報