テオシント(その他表記)teosinte
Euchlaena mexicana Schrad.

改訂新版 世界大百科事典 「テオシント」の意味・わかりやすい解説

テオシント
teosinte
Euchlaena mexicana Schrad.

家畜の餌として栽培されるイネ科一年草。中央アメリカの原産で,メキシコではトウモロコシ畑に雑草として生えている。トウモロコシと近縁な植物で,トウモロコシの祖先となんらかの関係があると考えられている。草丈は2~5mとなり,株もとから多くの分げつを出す。葉は長大で長さ約1m,幅8cmになり,数も多い。トウモロコシに似て茎の先端に雄穂がつき,葉腋ようえき)にはトウモロコシより貧弱で小さな雌穂が生じる。雌穂は苞葉に包まれ,中にやや扁平で三角状の子実が,数個~十数個,密に並ぶ。茎葉の収量が多く,青刈飼料として利用するが,乾草やサイレージにしてから家畜に与えることもある。一年に数回刈取りができる。比較的降水量の多い暖地を好むが,飼料作物としては,やや冷涼な土地でも栽培できる。しかし,霜にあうと枯れてしまうので,種子生産は温暖な土地でなくてはできない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオシント」の意味・わかりやすい解説

テオシント
ておしんと
teosinte
[学] Zea mexicana (Schrad.) Kuntze
Euchlaena mexicana Schrad.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。原産地は中央アメリカで、メキシコではトウモロコシ畑に雑草として生えることもある。トウモロコシと近縁な植物で、トウモロコシの起源となった植物と考えられている。飼料として栽培される。根元から分げつを多数出して大きな株状となり、草丈は3~5メートルとなる。葉は数が多く、大きなものは長さ約1メートル、幅8センチメートルにもなる。秋に茎の先端に雄穂、葉腋(ようえき)に雌穂をつける。ともにトウモロコシの花穂を貧弱にしたような形で、雌穂は包葉に包まれ、長さ4~8センチメートル、中にやや扁平(へんぺい)で三角状の穎果(えいか)が数個から十数個2列に密着している。

星川清親 2019年8月20日]

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百科事典マイペディア 「テオシント」の意味・わかりやすい解説

テオシント

メキシコ原産でトウモロコシの祖先種と考えられているイネ科の一年生飼料作物。茎は丈夫で高く,2〜4mに達する。基部で多数分げつし,大きな叢状を呈する。葉は著しく豊富である。多雨を好む。主に青刈飼料作物として乾草,エンシレージにされる。日本での栽培は北海道から九州まで広く可能であるが,暖地の方がより適している。暖地では日本の飼料作物中で最高の生草収量が得られる。

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