テサロニケ人への手紙(読み)テサロニケびとへのてがみ(英語表記)Pros Thessalonikeis; Letters to the Thessalonians

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テサロニケ人への手紙」の意味・わかりやすい解説

テサロニケ人への手紙
テサロニケびとへのてがみ
Pros Thessalonikeis; Letters to the Thessalonians

50年頃,パウロギリシアコリントからテサロニケキリスト教徒の集団にあてて書いた新約聖書中の2通の手紙。『テサロニケ書』ともいう。便宜上第1,第2に区別する。現存するパウロの最初期の手紙,したがって現存するキリスト教の最初の記録とされている。パウロは第2回伝道旅行の途次シルワノ,テモテとともにテサロニケに寄って福音を伝えたが,情勢が不利となりベレヤに避難した。第1書では,テサロニケに派遣されたテモテからの報告に基づいて,まずみずからの福音活動への弁護を行い,次に信者たちの信仰と愛をたたえ,さらに救いの望みをもって互いに慰め合い,監督者を敬愛して信仰の道を歩み,突然に訪れる主の日を待つべきことを説いている。第2書にも,きたるべき主の日を前に一層信仰を固くし日々の仕事に励むべきことがいわれているが,終末解釈などから著者をパウロでないとする見方もある。

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