テフヌト(読み)てふぬと(その他表記)Tefnut

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テフヌト」の意味・わかりやすい解説

テフヌト
てふぬと
Tefnut

エジプト創世神話(とりわけヘリオポリス市の伝承)において、原初の神アトゥム(「完全な者」の意で、のちに太陽神ラーと結合)が口から吐き出した女神蒸気を表す。同じように生じた空気の男神シューと交わって、天の女神ヌトと地の男神ゲブを生んだ。この女神は蒸気とともに水分を表していたので、宗教文書では死者の渇きをいやすものとみなされている。テフヌトは獅子(しし)の頭をもつ姿で表され、フィレーエレファンティンメンフィスデンデラなどの神殿で崇拝された。

矢島文夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テフヌト」の意味・わかりやすい解説

テフヌト
Tefnut

エジプト神話の女神。ヘリオポリス (太陽の都) において,彼女はレーから生れたとされ,さらに双生児の兄シューの妻となって,ゲブとヌトを生んだとされる。古くは,テフェンと呼ばれる神と夫婦になっていたらしい。露あるいは雨の女神。シューを助けて空を支え,太陽を彼とともに毎朝迎えたという。雌ライオンの姿あるいはライオンの頭をもつ女の姿で表現されていたので,太陽神と似た性格をもっていたようである。ギリシア人アルテミスと同一視している。

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