日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリオポリス」の意味・わかりやすい解説
ヘリオポリス
へりおぽりす
Heliopolis
古代エジプトの都市。カイロの東北郊外に位置する。名称は「太陽の都」を意味し、古代エジプトの太陽信仰(アトンおよびラー)の中心地であった歴史を物語っている。ここに太陽信仰の神殿ができ祭司団が形成されたのは、第一王朝時代にさかのぼる。第二王朝で王名に作用するほど発達し、第三王朝で祭司団長イムホテプが、ジョセル王の宰相となってピラミッドを建造したときから、古代エジプト全史を通じてエジプト王権と直結する信仰体系となり、第五王朝で「ピラミッド・テキスト」の骨格となった。第12王朝のセンウスレト1世は、ここに大神殿とオベリスクを建てた。オベリスクの1本はいまも立っている。プトレマイオス朝時代に、ギリシアの学者はここで学問を修めた。ローマ支配時代以降衰えていった。
[酒井傳六]