改訂新版 世界大百科事典 「テラコッタ煉瓦」の意味・わかりやすい解説
テラコッタ煉瓦 (テラコッタれんが)
赤煉瓦は安価であるが,軟質で吸水率が高く,表面が粗く耐用性に劣るので,これに代わって,装飾性のよいテラコッタ煉瓦が造られるようになった。原料粘土は赤煉瓦より高級なものを使用し,無釉のものは発色を考慮して酸化鉄の多いものを用い,強焼して赤みを帯びた褐色に仕上げる。成形は,単純なものは機械成形するが,複雑なものはセッコウ型で鋳込成形を行う。なお,表面に彫刻や模様をつけることもある。さらに施釉し,焼成して外観をいっそう強化する場合も多い。明治から大正にかけてできた洋風建築には多く使われているが,最近は建物が単純化の傾向にあるため,複雑な形状の製品はあまり使用されなくなっている。しかし,単純な形状の製品はその耐用性と装飾性から賞用されている。なお,最近では外壁面に張り付ける大型タイルとしてテラコッタタイルがある。
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報