建築材料として用いられる赤色の煉瓦。日本では幕末に輸入されて使用されはじめ,明治時代に入ると国内でも生産され,安価でかつ赤色の特徴を生かした美しい材料として,構造材,仕上材に多量に使用されてきた。大正時代には鉄筋コンクリートの進出があり,さらに耐震性に劣る問題点があり,本来の構造材料としての用途は減少して,その赤色を生かした装飾材料としての用途に利用されるようになっている。欧州などでは長い伝統に培われて,現在でも広く利用され,重要な建築材料となっている。
原料は不純物の多い低級粘土を主原料として,これに必要に応じて適量の川砂,石灰を混ぜたものである。この原料土を混合し,水を加えて土練機で練り合わせ,押出成形する。これを乾燥して,トンネル窯で1100℃前後で焼く。この焼成温度は従来900~1000℃程度であったが,トンネル窯で多量に均一焼成ができるようになって,品質を向上させるためにより高い温度で焼成されるようになってきた。粘土中に含まれる酸化鉄の発色によって赤色を呈するため,一般に赤煉瓦と呼ばれるが,日本工業規格では普通煉瓦と規定され,長さ210mm,幅100mm,厚さ60mmと定められている。またその品質は3種に区別され,吸水率23~17%以下,圧縮強さ100~200kgf/cm2以上と定められている。21cm×6cm面を長手,10cm×6cm面を小口と呼び,この一方または両方が煉瓦を積んだ場合に,外面に現れることが多い。煉瓦の原形を〈並形〉または〈お生(なま)〉といい,切断した煉瓦を〈役物〉と呼ぶ。この一般的なものを図に示す。アーチ状に煉瓦を積む場合には〈せり形〉と呼ばれる異形煉瓦が用いられるが,さらに特殊な形状をした異形煉瓦も必要に応じて使用される。
→煉瓦造建築
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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