日本大百科全書(ニッポニカ) 「テンドリャコフ」の意味・わかりやすい解説
テンドリャコフ
てんどりゃこふ
Владимир Фёдорович Тендряков/Vladimir Fyodorovich Tendryakov
(1923―1984)
ソ連の小説家。17歳で第二次世界大戦に参加、負傷して除隊後、ゴーリキー文学大学に学び、農村記録文学(オーチエルク)の分野で作家として出発。スターリン批判後の「雪どけ」を背景に初期中編『家風に合わぬ』(1954)、『難関』(1956)、『奇跡の聖像』(1958)などを発表。以後も人間の生と死を中心に据えつつ社会悪と人間悪の相克を倫理的側面から鋭く追求した『スリー・セブン・エース』(1960。邦訳名『激流』)、『裁判』(1961)、『漏電』(1962)などの作品を次々と発表し、戦中派の代表作家の一人として活躍を続けた。ほかにも中編『かげろう――短い一生』(1965)、『臨終』(1968)など。
[安井侑子]
『榊利夫訳『難関』(1960・新読書社)』▽『原卓也訳『激流』(『世界文学全集30』所収・1965・集英社)』▽『箕浦達二訳『奇跡の聖像』(『新しいソビエトの文学2』所収・1967・勁草書房)』