改訂新版 世界大百科事典 「テンニンギク」の意味・わかりやすい解説
テンニンギク
blanket-flower
Gaillardia pulchella Foug.
北アメリカ原産のキク科の花壇,鉢植え用の秋まき一年草。葉は披針形で無柄,軟毛があり,節間は詰まって互生するが,下葉は羽裂する。茎はよく分枝して,高さ30~40cmになり,夏には花茎に一重または二重咲きの美しい花を単生する。頭花は径約6cm,周辺の小花は舌状花でなく長い管状花で,先端は黄色,筒部は橙紅色。中心花は目だたない小管状花が密生する。中心花も発達した管状花となる万重咲種は,花型が球状となる。種子には冠毛の変化した芒(のぎ)がある。栽培されるオオテンニンギクG.×grandiflora Van Houtteは宿根性で,花も大きく葉も大きい。6~10月に,高さ60~80cmの長い花茎を抽出して咲く。花は舌状花を有し,橙紅色,弁先には黄色の縁どりがあるが,園芸種には褐赤色もある。ふつう一重咲きか二重咲きで万重咲きはない。テンニンギクと多年生野生種のG.aristata Pursh.の雑種とされ,四倍体になっている。種まきは秋または春,2年目から開花する。小苗の越冬は霜よけ下で保護する。宿根性種は株分けで繁殖する。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報