知恵蔵 「できますゼッケン」の解説
できますゼッケン
これはもともと、2008年に始まった博報堂の社内プロジェクトhakuhodo+designとstudio~Lが中心となって、首都直下型大震災が発生した際に想定される避難生活に対してデザインに何ができるかを考えることを呼びかけた折、阪神大震災の避難生活の教訓から自分にできることを示すIDカードが提案されたことが原型。これが、10年に神戸市とともに行う「issue+designプロジェクト」(社会的課題=issueを市民の想像力で解決するプロジェクト)として発展。その流れのなかで、11年3月11日に起こった東日本大震災に合わせて、より見やすく、より手軽にとブラッシュアップされ「できますゼッケン」が誕生した。
16年前の阪神大震災で被災者が多くのボランティアに助けられたのはもちろんだが、長い避難生活のなかでは、ボランティアと住民、ボランティア同士、住民同士のトラブルが多発した。その経験から、避難所生活を円滑にするために、ボランティアの力を最大限活用し、被災者同士の助け合いも生むためにと考え出されたもの。
現在、東日本大震災の被災地である石巻や気仙沼で活用されていることが確認されており、気仙沼ではボランティアセンターで配布もされている。
(菘(すずな)あつこ フリーランス・ライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報