日本大百科全書(ニッポニカ) 「デンカルマ目録」の意味・わかりやすい解説
デンカルマ目録
でんかるまもくろく
チベットにおける現存最古の経録。824~836年にペルツェクとルイワンポらがデンカルマ宮殿で編纂(へんさん)した一切経目録であり、西蔵(チベット)大蔵経に収載されている。経典と論書をおのおの詳しい項目に分類し、各経論の題目と偈頌(げじゅ)数と巻数などを記載している。チソンデツェン王らのチベット人の著作も含み、総経論数は700余に及ぶ。この目録によって、主要な大乗経論の多くが当時すでに翻訳され、タントラ関係はあまり翻訳されていないことが知られる。本書と相前後して『チンプマ目録』と『パンタンマ目録』も編纂されたが、これらは現存しない。
[原田 覺]
『芳村修基著『インド大乗仏教思想研究』(1974・百華苑)』