データ中継衛星(読み)でーたちゅうけいえいせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「データ中継衛星」の意味・わかりやすい解説

データ中継衛星
でーたちゅうけいえいせい

地球観測衛星のように大容量のデータを収集して地上局へ伝送する場合や、衛星から衛星へデータを中継するために設計された人工衛星である。通常、観測衛星は撮影した画像や観測・計測されたデータを地上局の上空で伝送する。その際地上局だけでは受信範囲が限られ全地球をカバーすることはむずかしく、また衛星に搭載されているデータレコーダーの容量も限られているため、観測範囲や必要とされる地域、観測時間などが不十分である。しかしデータ中継衛星を使った場合、広域性、連続性に優れ、地上局を設置したり観測衛星の数を増やす必要がなく経済的である。また、全世界に設置されているロケット打上げ時の飛行安全を監視するダウンレンジ局や、衛星を追跡管制するネットにリンクする地上局で利用することができ、非常に有用である。TDRS(追跡データ中継衛星)、DRTS(データ中継技術衛星「こだま」)などが使用されている。

坂田俊文

『日本宇宙少年団編、的川泰宣・毛利衛監修『スペース・ガイド』各年版(丸善)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「データ中継衛星」の意味・わかりやすい解説

データ中継衛星
データちゅうけいえいせい
data relay satellite

地上の管制局と低軌道周回衛星間のデータ通信を行なうために,静止軌道上に配置された通信中継用の衛星。二つ以上のデータ中継衛星を配置し,両衛星間の軌道分離角を大きくとると,データ中継衛星からの可視域が増え,地上管制局から不可視域である地球の裏側にいる周回衛星との通信が可能となる。周回衛星との通信データの内容は,地球観測,宇宙実験などのミッションデータおよび衛星の運用管理を行なうためのテレメトリ,コマンド,軌道計測用のデータなどがある。

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