地球観測衛星のように大容量のデータを収集して地上局へ伝送する場合や、衛星から衛星へデータを中継するために設計された人工衛星である。通常、観測衛星は撮影した画像や観測・計測されたデータを地上局の上空で伝送する。その際地上局だけでは受信範囲が限られ全地球をカバーすることはむずかしく、また衛星に搭載されているデータレコーダーの容量も限られているため、観測範囲や必要とされる地域、観測時間などが不十分である。しかしデータ中継衛星を使った場合、広域性、連続性に優れ、地上局を設置したり観測衛星の数を増やす必要がなく経済的である。また、全世界に設置されているロケット打上げ時の飛行安全を監視するダウンレンジ局や、衛星を追跡管制するネットにリンクする地上局で利用することができ、非常に有用である。TDRS(追跡データ中継衛星)、DRTS(データ中継技術衛星「こだま」)などが使用されている。
[坂田俊文]
『日本宇宙少年団編、的川泰宣・毛利衛監修『スペース・ガイド』各年版(丸善)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報