ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥトモス3世」の意味・わかりやすい解説
トゥトモス3世
トゥトモスさんせい
Thutmose III; Thuthmosis III
[没]前1450
古代エジプト第 18王朝6代目の王 (在位前 1504頃~前 1450) 。トゥトモシス3世とも呼ばれる。古代エジプト最も偉大な王といわれる。トゥトモス2世とハレムの一婦人イシスの子。 10歳頃即位。 21年間義母ハトシェプストの専制的摂政のもとに置かれ,武芸に精進。治世 22年目に義母が死に実権を掌握。父王の死後,各地で反乱が起こっていたが,成人した3世は反逆者たちに対する鎮圧軍の派遣にとりかかった。年代記によれば,パレスチナおよびシリアへの 17回にわたる戦役が記録されている。またヌビアへも2回遠征軍を送り,第4急流まで支配地を拡大した。戦争の合間には,内政にも力を注ぎ,征服都市からの略奪品や献納品,捕虜の労役などによりカルナック,ヌビア各地に諸神殿の建立,再建,装飾を行なった。また,征服されたアジアの諸侯たちの子供を人質としてエジプトに連行し,教育をしたのち征服地に戻した。諸国からの朝貢が相次ぎ,史上未曾有の黄金時代を迎えた。ミイラが現存する。
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