改訂新版 世界大百科事典 「トゥムシュク」の意味・わかりやすい解説
トゥムシュク (吐木休克
)
Tumshuq
中国,新疆ウイグル自治区の天山山脈南麓西方,マラル・バーシとアク・スーとの間,マラル・バーシ西方約70kmにあるオアシス。1906年にP.ペリオはマラル・バーシ~アク・スー公道の北のトックズ・サライ,14年にル・コックは南のトゥムシュク・ターグで,それぞれ泥煉瓦建築の仏教寺院跡を発掘し,29年に黄文弼はトゥムシュク・ターグ寺跡を調査した。また付近にはイスラム時代の二つの城塞も知られている。なかんずくペリオの発掘したトックズ・サライはA~Eの5区画から成るストゥーパを中心とする8世紀の仏寺で,Aはストゥーパとその両側にこれに向かって開口する祠堂列,Cは後室にストゥーパをもち,前室を広くとった独特のプランである。出土した仏,菩薩,供養者,飛天はみなアップリケを豊富に使った型づくりの塑像で,顔貌はまるまるとし,造作は中心に寄る傾向をもち,アフガニスタンのフォンドキスタンやタパ・サルダール,また中央アジアのアジナ・テペと,その製作法やモティーフにおいて強い類縁をもっている。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報