トリトニア(読み)とりとにあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリトニア」の意味・わかりやすい解説

トリトニア
とりとにあ
[学] Tritonia

アヤメ科(APG分類:アヤメ科)の秋植え球根草。秋のうちに剣状の葉を数枚つける。5~6月、30~50センチメートルの花茎を出し、フリージアに似た花を8、9個穂状につける。芳香はないが、切り花や鉢植えに向く。南アフリカ原産。クロカタ種T. crocata Ker-Gawlはアカバナヒメアヤメともいい、約45センチメートルの花茎に7~9個の花を開く。品種に濃橙(のうとう)色のインコンパラビル、白色のホワイト・ビューティ、桃色のローザリンなどがある。ヒアリナ種T. hyalina Bakerはクロカタに似た花姿で、淡橙色花を開く。繁殖は分球により、10月ころ植え付ける。暖地では露地で越冬するが、中部地方以北では鉢植えにし、フレーム内か室内の窓辺で栽培する。夏に葉が枯れたら球根を掘り上げ、乾燥して貯蔵する。

[平城好明 2019年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリトニア」の意味・わかりやすい解説

トリトニア
Tritonia; Tritonia blazing star

アヤメ科の多年草。南アフリカに 40~50種知られているが,花壇や切り花用に栽培されるものもある。葉は線形または剣状で基部は鞘となる。花は円錐状穂状花序につき,6個の花被片は下部筒状に,上部鐘状に広がり,淡紅色,黄色,黄褐色,赤色,白色などがある。外形はフリージアに似ている。観賞用に栽培されるものには,ヒメヒオウギズイセン T. crocosmaefloraスイセンアヤメ T. lineata,ヒメトウショウブ T. pottsiiなどがある。

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