アヤメ科アサギスイセン(フリージア)属Freesiaの半耐寒性球茎植物。南アフリカ原産。細いグラジオラスのような葉を6~7枚つけた茎に,総状に花をつける。花序はやや斜上し,8~12輪の黄色の花が下から次々と咲き上がる。1700年代に香気の強い変種アヤメズイセンvar.leichtlinii (Klatt) W.Mill.がイギリスに持ち込まれて人気を呼び,その後もイギリスやオランダへ南アフリカの種々な系統が導入され,改良が進んだ。日本では温室性の球根植物として扱われるが,1950年ころより夏の涼しい地方で種子を春まきして秋に花を咲かせる栽培も行われるようになった。水揚げがよく,花の少ない時期に咲くので有名となり,交配育種も盛んで,花色も元来の黄色のほか,桃紫色のフレシア・アルムストロンギイF.armstrongii W.Watsとの交配も行われ,赤・紫・橙・桃・白色,さらに八重咲きが出現している。大輪花では径5cmを超すものも育成されている。日本では切花,鉢物として多く生産され,10月~翌年4月いっぱいくらいまで花屋にある。園芸品種は白色のエベレスト,バレリーナ,桃色のローズマリー,桃色八重のロードス,赤色のレッド・ライオン,レッド・ダイヤモンド,青紫色のローヤル・ブルー,黄色のゴールデン・メロディ,ラインベルト・ゴールデン・イェローなど。
日当りと通気,水はけのよい,今までアヤメ科を作ったことのない土地を好む。秋植球根であるが,鉢植えの場合は霜期には室内に取り入れる。温暖に保てば1月ごろより咲き始める。地植えの場合は11月中旬以降に植えつける。極寒期を小さな芽で越させる。花後,葉が枯れるころに掘り上げ,網袋などで陰干しし,貯蔵する。
執筆者:川畑 寅三郎
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アヤメ科(APG分類:アヤメ科)の秋植え球根草。アサギスイセンともいう。南アフリカ原産。球根は細長い紡錘状の球茎で繊維質の被膜に覆われ、植え付けるとすぐ発芽し、5~6枚の線形の細長い葉を伸ばして越冬するので、暖地以外ではフレームか温室で切り花、鉢物栽培する。花茎は高さ30~40センチメートル、細長い漏斗(ろうと)状で香りの高い花を約10個開く。白、黄、桃、紅、橙(だいだい)、紫色など花色は豊富で、一重咲きを主に、半八重、八重咲きもある。花期は冷蔵低温処理栽培で11月。1月以降に開花させるには低温処理を行わず、9月上旬から中旬に定植し、11月上旬に薄い霜に当ててから温室、フレームに入れると、3月ころから観賞できる。おもな品種にホワイト・マリー(白色)、ホワイト・シー(白色)、ラインベルト・ゴールデン・イエロー(黄色)、エクセルシア(黄白)、ローズマリー(濃桃色)、紫泉(紫色)、レッド・ライオン(朱赤色)、ダイアナ(白色、八重咲き)などがある。繁殖は子球による。鉢植えは、5号鉢に5球植えとする。葉が伸びすぎないようなるべく草丈を低くし、茎葉を堅く育てるため、用土は粘質壌土とし、堆肥(たいひ)か「ピートモス」を混ぜるとよい。球根の貯蔵養分が少ないので、元肥と追肥を十分に施す。日本における主要生産地は八丈島、沖永良部(おきのえらぶ)島で、充実した良質の球根がつくられ、休眠から早く覚めるので、発芽が早い。
[岩井英明 2019年5月21日]
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