フリージア(英語表記)Freesia refracta Klatt

デジタル大辞泉 「フリージア」の意味・読み・例文・類語

フリージア(freesia)

アヤメ科多年草。高さ約40センチ。球茎から剣状の葉が2列に出る。春、曲がっている茎の先に黄や白などの色の漏斗状の花を数個開く。アフリカ南部の原産。あさぎずいせん。 春》「―のあるかなきかの香に病みぬ/みどり女」

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精選版 日本国語大辞典 「フリージア」の意味・読み・例文・類語

フリージア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] freesia ) アヤメ科の多年草。南アフリカ原産で、切り花、鉢物用に栽培される。高さ約四〇センチメートル。地下に狭卵形の球茎がある。葉は細い剣状。春、花茎の上端の急角度に曲がった部分に数個の漏斗状花をつけるが、すべての花は上向きに開くため、一列に並んでいるように見える。花は白・黄・桃・紅・紫などで品種が多く強い芳香を放つ。あさぎずいせん。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「友が二人、純潔雪のごときフリジヤの花環を捧げて入りました」(出典:花物語(1919)〈吉屋信子〉フリージア)

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改訂新版 世界大百科事典 「フリージア」の意味・わかりやすい解説

フリージア
Freesia refracta Klatt

アヤメ科アサギスイセン(フリージア)属Freesiaの半耐寒性球茎植物。南アフリカ原産。細いグラジオラスのような葉を6~7枚つけた茎に,総状に花をつける。花序はやや斜上し,8~12輪の黄色の花が下から次々と咲き上がる。1700年代に香気の強い変種アヤメズイセンvar.leichtlinii (Klatt) W.Mill.がイギリスに持ち込まれて人気を呼び,その後もイギリスやオランダへ南アフリカの種々な系統が導入され,改良が進んだ。日本では温室性の球根植物として扱われるが,1950年ころより夏の涼しい地方で種子を春まきして秋に花を咲かせる栽培も行われるようになった。水揚げがよく,花の少ない時期に咲くので有名となり,交配育種も盛んで,花色も元来の黄色のほか,桃紫色のフレシア・アルムストロンギイF.armstrongii W.Watsとの交配も行われ,赤・紫・橙・桃・白色,さらに八重咲きが出現している。大輪花では径5cmを超すものも育成されている。日本では切花,鉢物として多く生産され,10月~翌年4月いっぱいくらいまで花屋にある。園芸品種は白色のエベレスト,バレリーナ,桃色のローズマリー,桃色八重ロードス赤色のレッド・ライオン,レッド・ダイヤモンド,青紫色のローヤル・ブルー,黄色のゴールデンメロディ,ラインベルト・ゴールデン・イェローなど。

 日当りと通気,水はけのよい,今までアヤメ科を作ったことのない土地を好む。秋植球根であるが,鉢植えの場合は霜期には室内に取り入れる。温暖に保てば1月ごろより咲き始める。地植えの場合は11月中旬以降に植えつける。極寒期を小さな芽で越させる。花後,葉が枯れるころに掘り上げ,網袋などで陰干しし,貯蔵する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリージア」の意味・わかりやすい解説

フリージア
ふりーじあ
[学] Freesia

アヤメ科(APG分類:アヤメ科)の秋植え球根草。アサギスイセンともいう。南アフリカ原産。球根は細長い紡錘状の球茎で繊維質の被膜に覆われ、植え付けるとすぐ発芽し、5~6枚の線形の細長い葉を伸ばして越冬するので、暖地以外ではフレームか温室で切り花、鉢物栽培する。花茎は高さ30~40センチメートル、細長い漏斗(ろうと)状で香りの高い花を約10個開く。白、黄、桃、紅、橙(だいだい)、紫色など花色は豊富で、一重咲きを主に、半八重、八重咲きもある。花期は冷蔵低温処理栽培で11月。1月以降に開花させるには低温処理を行わず、9月上旬から中旬に定植し、11月上旬に薄い霜に当ててから温室、フレームに入れると、3月ころから観賞できる。おもな品種にホワイト・マリー(白色)、ホワイト・シー(白色)、ラインベルト・ゴールデン・イエロー(黄色)、エクセルシア(黄白)、ローズマリー(濃桃色)、紫泉(紫色)、レッド・ライオン(朱赤色)、ダイアナ(白色、八重咲き)などがある。繁殖は子球による。鉢植えは、5号鉢に5球植えとする。葉が伸びすぎないようなるべく草丈を低くし、茎葉を堅く育てるため、用土は粘質壌土とし、堆肥(たいひ)か「ピートモス」を混ぜるとよい。球根の貯蔵養分が少ないので、元肥と追肥を十分に施す。日本における主要生産地は八丈島、沖永良部(おきのえらぶ)島で、充実した良質の球根がつくられ、休眠から早く覚めるので、発芽が早い。

[岩井英明 2019年5月21日]


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百科事典マイペディア 「フリージア」の意味・わかりやすい解説

フリージア

南アフリカ原産のアヤメ科の一属で,数種がある。球根性の多年草で,フリージア・レフラクタ(和名アサギズイセン)は古くから栽培されてきた代表的な種。葉は剣状で根ぎわから群出し,草たけ30〜80cmになる。2〜3月,花茎の上部でほぼ直角に曲がった花序に花を1列につける。花は漏斗(ろうと)状で先が6裂して水平に開き,芳香がある。ただし,現在園芸的にフリージアと呼んでいるものは改良された園芸品種群。黄・白・赤だいだい・紫等花色も豊富で大輪品種もある。鉢植,切花に向き,温室,フレームで栽培。繁殖はおもに分球による。
→関連項目球根

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリージア」の意味・わかりやすい解説

フリージア
Freesia

アヤメ科の多年草。アサギズイセンの和名もあるがほとんど使われない。本来はアフリカ南部原産の属名であるが,通常は観賞用に栽培される F. refractaの園芸品の名として使われる。地下に球茎があり,繊維質の被膜におおわれている。茎は細く,1~2枚の葉をつける。葉は剣状で大部分は根もとに2列に叢生する。春に,茎の先端から水平に曲る花軸を出し,白色,黄色,オレンジ色,淡紫色などの芳香をもつ花を数個上向きにつける。それぞれの花に2個の緑色の包葉がある。花筒は上方がふくれ6個の花被片が水平に開く。

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デジタル大辞泉プラス 「フリージア」の解説

フリージア〔漫画〕

松本次郎による漫画作品。敵討ちが合法化した社会を背景に、敵討ち執行代理人となった男が犯罪被害者に代わって復讐を果たすバイオレンスアクション。『IKKI』2001年第6号~2009年に連載。小学館IKKI COMIX全12巻。2006年玉山鉄二主演で映画が公開された。

フリージア〔バラの品種〕

バラの園芸品種名。木立ち性で中輪、鮮やかな濃黄色の花をつける。四季咲き。作出国はドイツ。

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