トリフェニルメタノール(読み)とりふぇにるめたのーる(英語表記)triphenylmethanol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリフェニルメタノール」の意味・わかりやすい解説

トリフェニルメタノール
とりふぇにるめたのーる
triphenylmethanol

トリフェニルカルビノール、トリチルアルコールと慣用的によばれることもある。無色の六角柱状の結晶。この化合物塩化水素作用により容易に反応してクロロトリフェニルメタン(C6H5)3CClを生ずる。濃硫酸を加えると黄色を呈するが、これを水で薄めると無色に戻る。この色は、酸の作用によりトリフェニルメタノールからヒドロキシ基が失われて生ずるトリフェニルメチル陽イオン(C6H5)3C+に基づく。トリフェニルメタノールの3個のベンゼン環のそれぞれにジメチルアミノ基(CH3)2Nの置換した化合物は、酸の作用により青紫色を呈し、その塩はクリスタルバイオレットとよばれる。

[徳丸克己]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリフェニルメタノール」の意味・わかりやすい解説

トリフェニルメタノール
triphenylmethanol

化学式 (C6H5)3COH 。トリフェニルカルビノールともいう。無色板状晶,融点 164~165℃。水に不溶,アルコール,エーテルベンゼンに易溶,氷酢酸には可溶で,溶液は無色である。濃硫酸に溶かすとトリフェニルメチルカチオン (C6H5)3C+ となり,黄色を呈する。

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