改訂新版 世界大百科事典 「トリフェニルメタン」の意味・わかりやすい解説
トリフェニルメタン
triphenylmethane
メタンの3個の水素原子が3個のフェニル基で置換された形の化合物。ベンゼン3分子とクロロホルム1分子を塩化アルミニウム存在下に縮合させて得られる。二つの結晶形が知られており,安定形は融点94℃,不安定形は融点81℃で,いずれも無色。エーテル,クロロホルム,熱エチルアルコールなどに可溶。中心炭素原子上の水素原子は酸性度が比較的高く,ブチルリチウムなどの有機金属化合物や,液体アンモニア中のアルカリ金属などと反応し,赤色のトリフェニルメチル金属化合物を生成する。これらの反応は種々の合成反応に利用されるほか,有機金属化合物の呈色指示薬としても利用。トリフェニルメタン誘導体にはマラカイトグリーン,フクシン,メチルバイオレットなど塩基性染料になるものが多い。
執筆者:村井 真二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報