化学辞典 第2版 「過塩素酸塩」の解説
過塩素酸塩
カエンソサンエン
perchlorate
過塩素酸の水素が金属により置換された組成Mn+ (ClO4)n(n = 1~4)の塩.過塩素酸の水素が非金属元素の原子または原子団(ヨウ素,フッ素,ニトロシル)により置換されたものもある.金属またはその金属の酸化物や炭酸塩を過塩素酸に溶かして濃縮析出させるか,非金属元素あるいは化合物と過塩素酸とを反応させると得られる.また,過塩素酸塩の複分解でも得られる.アルカリ塩は,工業的には塩素酸塩水溶液の電解により得られる.金属塩は正四面体の過塩素酸イオンを含む無色の斜方晶系結晶.大部分の塩および水溶液は常温で安定である.熱に対してもかなり安定であり,含水塩を加熱脱水することができるが,強熱すれば分解して発火する.とくに乾燥したものは有機物や可燃物と混合すると爆発性となる.水に溶けやすく,吸湿性で,含水塩をつくる.ただし,K,Rb,Csの塩は水に難溶.Mg,Ba塩は乾燥剤として用いられる.O原子を含む有機溶媒に易溶.水溶液中ではほとんど錯体を形成しない.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報