日本大百科全書(ニッポニカ) 「どぶろく」の意味・わかりやすい解説
どぶろく
濁(にご)り酒(ざけ)、濁酒(だくしゅ)、白馬(しろうま)、もろみ酒ともいう。濁醪(だくろう)、酴(どびろく)(黄色の濁り酒)の転化ともいわれる。日本酒と同じく米麹(こうじ)、蒸し米および水で仕込むが、発酵してできたもろみを濾過(ろか)することなくそのまま飲む。米粒や麹、酵母がそのまま入っており、甘酸っぱい味で、腹もちもよく庶民の酒として愛飲され、明治末年には2万石近くの消費があったという。今日の酒税法では、どぶろくについての規定がなく、密造に通じるので、製造は許されていない。例外として神事用に神社で少量の製造が許される場合がある。なお、現在市販されている「濁り酒」「白酒(しろき)(白貴)」などは、もろみを目の粗い袋で濾過したのち滓引(おりびき)せずに出荷するもので、酒税法上は清酒に属する。
[秋山裕一]