ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ド・ベーア」の意味・わかりやすい解説
ド・ベーア
de Beer, Sir Gavin Rylands
[没]1972.6.21.
イギリスの動物学者。実験発生学,解剖学,進化学など広い範囲にわたって研究を行い,多数の著書がある。オックスフォード大学講師 (1926~38) ,ロンドンのユニバーシティ・カレッジ教授 (45~50) ,大英自然史博物館館長 (50~60) を歴任。それぞれの器官は特定の胚葉のみに由来すると説く胚葉説が通説となっていが,ド・ベーアは,胚葉説で中胚葉起源とされていた軟骨組織が外胚葉に由来する場合のあることを指摘し,胚葉説を批判した (26) 。 E.ヘッケルの反復説 (→生物発生原則 ) に対しても彼は批判的検討を加え,『胚と祖先』 Embryos and Ancestors (40) を書いて,成体に達した動物のなかに,系統上の祖先にあたる動物の幼生期の特徴が現れるという考えを述べている。また歴史に対して強い関心をもち,史実解明の手段として生物学を活用する独特の研究を行なった。ハンニバルのアルプス越えのルートを花粉分析によって究明したり,エトルリア人の出身地が小アジアである可能性を血液型調査で突止めるなどの成果をあげている。 1954年にナイトの称号を贈られた。
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