改訂新版 世界大百科事典 「ドメニコベネツィアーノ」の意味・わかりやすい解説
ドメニコ・ベネツィアーノ
Domenico Veneziano
15世紀中ごろに活動したイタリアの画家。生没年不詳。名前からベネチア出身と推測されるが,フィレンツェ派の画家に数えられる。1438年にペルージアにいたことが知られ,39-45年にはフィレンツェのサンテジディオ教会の回廊に,聖母伝の壁画(現存せず)を描く。初期の作とされる〈カルネセッキ祭壇画〉は,そのポーズ,顔のタイプ,玉座などに,いまだにゴシック様式の残滓が強い。しかし40年代後半の作と思われる〈サンタ・ルチア・デイ・マニョーリの祭壇画〉に見られる豊かで変化に富んだ色彩,自然の光の巧みな処理,正確な遠近法は,彼がすでにルネサンスの画家であることを示している。彼の色彩や遠近法への強い関心は,かつて助手であったピエロ・デラ・フランチェスカに受け継がれ,発展する。
執筆者:生田 圓
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