ドーセット県(読み)ドーセット(その他表記)Dorset

翻訳|Dorset

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドーセット県」の意味・わかりやすい解説

ドーセット〔県〕
ドーセット
Dorset

イギリスイングランド南西部の県。県都ドーチェスター。1974年の自治体再編により,それまでのハンプシャー県の一部が編入され,1997年にボーンマスプールが単一自治体(ユニタリー unitary authority)となって分離した。イギリス海峡に面する県で,南東部にはハンプシャー盆地の一部をなす平野が広がるが,中部,北東部,および南部沿岸には白亜の丘陵地帯が連なる。フルーム川,スタウア川が南東流し,イギリス海峡に注ぐ。自然条件に恵まれていたため早くから人が住んでいた地域で,丘陵地帯を中心に新石器時代以降の遺跡や遺物が数多く発見されている。ローマ時代はドゥルノバリア(のちのドーチェスター)の町が建設され,アングロ・サクソン時代にはウェセックス王国の一部をなし,シャーボーンが宗教中心地として発展したが,1066年のノルマン・コンクェスト後は歴史的にあまり重要性をもたなかった。農業が主産業で,主要作物はオオムギカラスムギコムギなどの穀物と豆類。家畜の飼育,園芸,森林業も盛ん。農業に次いで観光業が重要で,丘陵地帯が美しい風光で知られるほか,海峡沿岸にウェーマス・ポートランドなどの海浜保養地が発達している。沿岸部は 2001年にドーセットおよびイーストデボンの沿岸地帯として世界遺産の自然遺産に登録。工業部門ではシャーボーンに絹織物ウェーマスポートランド造船,機械,陶器煉瓦タイルなどの工業が立地する。ほかに粘土,石灰岩,白亜などの切り出しが盛ん。面積 2542km2。人口 40万1100(2005推計)。

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