ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンプシャー県」の意味・わかりやすい解説 ハンプシャー〔県〕ハンプシャーHampshire イギリス,イングランド南部の県。略称ハンツ Hants。県都ウィンチェスター。1974年の自治体再編により,南西端部がドーセット県へ分離され,1997年にサウサンプトンとポーツマスが単一自治体(ユニタリー unitary authority)となって分離した。イギリス海峡に面し,沿岸には狭いソーレント水道を隔ててワイト島がある。中央部をダウンズと呼ばれる幅広い白亜の丘陵地帯が東西に延び,北のロンドン盆地と南のハンプシャー盆地を分ける。ソーレント水道はかつては川の下流部であったが,海岸地方一帯の沈降により水道となり,その支流であったエーボン川,テスト川,イッチェン川などが独立河川となって注ぐほか,沿岸には溺れ谷が多い。考古学的史料がきわめて多い地域で,ダウンズを中心に旧石器時代以降の遺物や遺跡が多数発掘されている。ローマ時代にはウィンチェスターと北部のシルチェスターに町がつくられ,交通の要地として発展。アングロ・サクソン時代にはウェセックス王国の一部をなし,7世紀後半に首都ウィンチェスターに司教座が置かれた。中世には羊毛産業が発展。古くから農業が盛んで,穀物の栽培と酪農が中心だが,南東部の海岸地帯では市場園芸が重要。工業部門ではフォーリーの石油精製,ファーンバラの航空機のほか,各地にエンジニアリング,ビール醸造などの軽工業が立地する。ゴスポートは軍港として重要。面積 3679km2。人口 124万103(2005推計)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by