カラスムギ(読み)からすむぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラスムギ」の意味・わかりやすい解説

カラスムギ
からすむぎ / 烏麦
[学] Avena fatua L.

イネ科(APG分類:イネ科)の越年草。稈(かん)は直立し、高さ50~90センチメートル。円錐(えんすい)花序は長さ約20センチメートル、枝は輪生し、水平に開出する小穂は大形で垂れ下がる。花期は6、7月。小花は3個あり、成熟すると脱落する。包穎(ほうえい)は背面が丸く、長さ約2.5センチメートル、小花全体を包む。護穎は多少革質で粗い毛があり、先端は歯牙(しが)状に2裂し、背面から芒(のぎ)が出る。芒は長さ3~4センチメートル、強く屈折し、よじれる。ヨーロッパ、西アジア原産で、日本全土にみられ、畑の縁や荒れ地に帰化している雑草。名は、カラスが食べるムギの意味で、チャヒキグサ茶挽草)ともよぶ。食用とするエンバクマカラスムギ)に形態がよく似ている。

[許 建 昌 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラスムギ」の意味・わかりやすい解説

カラスムギ(烏麦)
カラスムギ
Avena fatua; wild oat

イネ科の二年生帰化草本。野原や荒れた畑などに生える。ヨーロッパ原産で高さ約 1mになる。葉はコムギより幅が広く濃緑色,直立した稈 (わら) の上端に数段に小枝が輪生し,これら小枝の上端に小穂を生じる。小穂は下垂して3~4花をつけ,穎果 (えいか) にはよじれた長い芒 (のぎ) がある。このカラスムギから改良されたとされるのがマカラスムギあるいはエンバク,オートムギと呼ばれるもので A. sativaという別種として扱われている。耐寒性が強く北欧やロシアの高緯度地方でも栽培される。これをあぶって破砕したものがオートミールである。食用のほかウイスキー原料にも使われる。日本には明治の頃牧草として輸入され,特に軍馬飼料として有名であった。

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