日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナルニア国物語」の意味・わかりやすい解説
ナルニア国物語
なるにあこくものがたり
The Narnia Stories
イギリスの作家C・S・ルイスの七巻(1950~56)のファンタジー童話の総称名。第一巻『ライオンと魔女』で、4人の子供が、疎開した田舎(いなか)の屋敷の洋服だんすを通って行った別世界ナルニア国へ、続巻で何度も往復、その興亡史に深くかかわる。『魔術師の甥(おい)』でナルニアの誕生、『最後の戦い』でその消滅が語られる。アスランというキリストに似たライオンがその国を悪から救済したりして、全編にキリスト教色は濃厚だが、物語性に富み、イメージが明快、描写が簡潔で、多くの子供読者に歓迎されている現代児童文学の最高傑作の一つ。最終巻でカーネギー賞受賞。
[吉田新一]
『瀬田貞二訳『ナルニア国ものがたり』全七巻(1966・岩波書店)』