なんす(読み)ナンス

デジタル大辞泉 「なんす」の意味・読み・例文・類語

なん・す

[動サ特活]《「なさります」の音変化「なさんす」がさらに音変化した語か。近世遊里語
する」の尊敬語。なさいます。
「お前はこちら枕に―・すかえ」〈洒・聖遊廓
補助動詞)「お…なんす」の形で、尊敬の意を表す。…なさいます。
「米八つぁん、今の通りだから、どうぞお気の毒ながらさう思っておくん―・し」〈人・梅児誉美・初〉
[補説]活用は「なんせ(なんし)・なんし・なんす・なんす・なんすれ(なんせ)・なんせ(なんし)」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「なんす」の意味・読み・例文・類語

なん・す

  1. 〘 他動詞 サ行特活 〙 ( 「なさります」の変化してできた語という。主として遊里の女性語であったが、江戸後期には男性も使用した )
  2. [ 一 ] 「する」の尊敬語。なさいます。せられます。
    1. [初出の実例]「おまへはこちらまくらになんすかへ」(出典:洒落本・聖遊廓(1757)雪月花)
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。動詞の連用形(「お」を冠することがある)を受ける。…なさいます。お…なさいます。
    1. [初出の実例]「ハイたんとべべきなんしたの」(出典:洒落本・月花余情(1746))

なんすの補助注記

( 1 )活用は、「なんせ、なんし・なんし・なんす・なんす・なんすれ、なんせ・なんせ、なんし」。終止形は、上方では「なんする」の形もある。江戸語命令形は、「なんせ」「なんし」の二形があるが、「なんし」が普通。→なんしょ
( 2 )補助動詞として用いられる場合、上の動詞が撥音便形になることがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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