化学辞典 第2版 「ナンセンスコドン」の解説
ナンセンスコドン
ナンセンスコドン
nonsense codon
メッセンジャーRNA(mRNA)の塩基配列がタンパク質のアミノ酸配列を決定する場合に,mRNAの3個単位のヌクレオシド(N1N2N3)が1種類のアミノ酸に対応し,これをコドンとよぶ.アデニン(A),グアニン(G),ウラシル(U),シトシン(C)の4種類よりなるコドンは全部で64種類存在し,それぞれがどのアミノ酸に対応するかが明らかにされている.しかし,この64種類のうち,UAA,UGA,UAGの3種類は対応するアミノ酸が存在せず,これらのコドンはペプチド鎖の終結の役割を果たしていることが知られている.これらをナンセンスコドンという.ある突然変異体では,本来,ペプチド合成が続くべきところで突然変異を生じてナンセンスコドンができると,遺伝情報の伝達が止まり,タンパク質が合成されない.これらはナンセンス突然変異体とよばれ,アンバー突然変異体,オーカー突然変異体,オパール突然変異体の3種類に分けられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報