日本大百科全書(ニッポニカ) 「にゅうめん」の意味・わかりやすい解説
にゅうめん
奈良県の郷土料理。大和(やまと)地方(奈良県)は手延べそうめんの発祥地といわれる。そうめんは冷やしそうめんが一般的であるが、この地方では晩秋のころから温かく煮たそうめんをつくる。これが「にゅうめん」で、入麺、煮麺の字があてられる。シイタケ、ナス、干しえび、湯葉、青菜などを薄味に煮ておき、ゆでたそうめんにのせて、つゆを張りさっと煮立ててつくる。大和地方では、煮た材料とつゆを冷やしておき、冷たいそうめんにかける食べ方が古くからあり、にゅうめんはこれをそっくり温かくしたものである。熊本県の南関(なんかん)そうめん、徳島県の半田そうめんなども、冬にはにゅうめんにして食べることが多い。
[堤 方子]